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ばかもの 成宮寛貴の転落っぷりと内田有紀の不幸っぷり…でも間違いなく純愛

最初と最後のそれぞれの「ばかもの」が深い


年下の男、ヒデ(成宮寛貴)と年上の女(内田有紀)の10年越しの愛・・・という内容なので純愛映画で間違いないように思うのですが、内容はこれが全然純愛映画っぽくないのです。
ヒューマンドラマの側面が強い恋愛ものです。
あとどういう経緯でアルコール中毒になり、どのように立ち直るのか、ということを描いていて、酒と女は怖いぞ!って話でもあり、やりたいだけの猿から大人の男になるヒデの成長譚でもあります。
呆れるほどノー天気序盤から、中盤めちゃめちゃへヴィーになり・・・

原作の絲山秋子さん(芥川賞作家です)の小説を読んでいて、こちらはあまりピンとこなかったのですが、映画のほうはやられてしまいました。
ストーリーは原作小説に忠実に作られていました。
そして主演の成宮寛貴と内田有紀の熱演が、小説の少し浮世離れしたような物語に、生々しいリアル感になっており、映画ならでの雰囲気だなぁと。
すごくいい映画化だと思いました!

お馬鹿な三流大学生、19歳のヒデ(童貞)は10コ上の女性額子とバイト先のスーパーで出会います。
額子さんはかなりキョーレツなキャラですが、男前でとても魅力的。
童貞大学生が年上のお姉さんにより性を知る・・・となれば当然「オレ、マジで額子のコトが好き」となるのもしょうがない。
お気楽でエッチな2人の恋愛模様が面白おかしく描かれてゆくのかと思いきや、額子はかなりこっぴどく(理由は後々分かります)フラれてしまうわけです。
「結婚する事にしたから。」と・・・
ちょっとコミカルなのですが、あんなフラれ方は嫌だなぁ、と(笑)ホント最悪だから。

でもその後のヒデの急転直下の転落っぷりで笑えなくなります。
「忘れてしまいたいことや~♪どうしようもない寂しさに~♪包まれたときに男は~♪酒を飲むのでしょう~♪」
・・・と「酒と泪と男と女」みたいなことになるヒデ。
飲んで飲んで飲まれてアル中になってしまい、生活がドンドン荒んでゆきますが、ヒデの転落は決して額子のせいだけではなく色々とあり・・・
ヒデがお馬鹿で未熟で弱かった、そして若かったということではないかと。
このパートは「喪失と再生」がテーマで、アル中患者の描写が巧みで、ホントにアルコールは怖いとしみじみ思いました。
一方、額子も結婚後に色々な不幸な出来事が重なり、自分たちなりに乗り越えて再会する2人。

今時っぽい人間ドラマがとてもリアルだと思いました。
ヒデの両親はとても善良でいい両親なんですけど、息子の様子が変だと気付いてもそんなにキツくは言わない。
一緒に住んでる彼女に酒に飲まれて暴力ふるっても全く記憶にないヒデ。
それなのに「ヒデが悪いわけではない。酒が悪いんだ。」とヒデと別れられない彼女。
最初はヒデの事を心配している親友は、だんだん心配しているふりをしているようになり・・・またヒデがアルコールにはまったように新興宗教にはまる友人。
アル中のせいですべてを失ってしまうけど、両親は温かく見守ってくれる。
そんな人間ドラマに暗澹となったり、ホロリときたり、腹立ったり、面白かったです!
商業映画にはない面白さがあると思います。

成宮寛貴と内田有紀がものすごくはまり役だと思いました。
そして見事に演じ分けていて見応えがあります。
特に”お気楽大学生→転落→大人になる”のお気楽から少しずつ転落していく様は顔相まで変わっていてひきこまれました。
序盤の額子が言う「ばかもの!」とヒデが言う「ばかもの!」は深いです。

そして舞台となるのは群馬県高崎市と片品(ほんの少しだけ東京)です。




高崎経済大学

引用:wikipedia
ヒデが通う三流大学、高崎文化大学のロケ地は高崎経済大学。
因みに三流大学ではありません。

住所:高崎市上並榎町1300



旧高崎競馬場場跡地

ヒデと額子が競馬を楽しむシーンは旧競馬場の跡地での撮影だそうです。
はげたフェンスがそれっぽい気がします。




高崎白衣大観音(高崎観音)

引用:wikipedia
高崎のシンボルである慈眼院高崎観音は、劇中でもちょいちょい写っています。
住所:群馬県高崎市石原町2710-1



吹割の滝
引用:tabipedia.net

2人が出会ってから10年の時が経ちヒデは額子を訪ねて片品へ。
再会した2人が見に行く吹割の滝は東洋のナイアガラ(?)らしい。



渓流

これ、ラストシーンなんですけど、もんのすごーく良いです。
額子の暮らす片品の渓流に2人で出かけ、額子がヒデに助けられて木に登るシーンです。
ロケ地は高崎市倉渕町川浦の渓流みたいです。




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