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横道世之介 (2013) 高良健吾×吉高由里子 二度と戻ることができないあの頃

『横道世之介』は吉田修一の小説が原作で、奇しくも一文字違いの沖田修一による映画化作品。
自分は小説のファンなんですが、映画版『横道世之介』はのんびりオフビートな会話が沖田監督ならではで、内容がびっくるするほど小説に忠実な映画化で好みでした。

長崎県の港町で生まれ育った横道世之介(高良健吾)は、大学に進むために東京へと向かう。周囲の人間を引き付ける魅力を持ち、頼まれたことは何でも引き受けてしまう性格である世之介は、祥子(吉高由里子)から一方的に好かれてしまう。しかし彼は、年上で魅力的な千春(伊藤歩)にぞっこんで……。--cinema today


1980年代後半、平凡な大学生、横道世之介の青春とその16年後のお話。
世之介はどこにでもいるような大学生で、人の頼みは断れないお人好し、天然でちょっとアホ・・・とにかくいいヤツで、どこにでもいなさそうでいそうです。
しかしこの映画、普通の人々の話なので、特になにも特別なことは起こらないです。
平凡な人でももっと色々あるだろう、と思うくらい普通に学校行って、なりゆきでサークル入って、バイトとかして年上女性に憧れたりなんかして。
それでも世之介のちょっとトボけた魅力満載で2時間40分強の長尺でも飽きません。
かなり笑ってしまった原作のトボけた会話がどうなるかと思いましたが、素晴らしかったです。
年代的に40代以上の方はドンピシャだと思います。


青春譚、恋愛譚を通して描かれているもの

そういうわけで世之介の青春譚と恋愛譚となりますが、それを通して描かれているのはもう戻れない青春時代、そして大人になり何を失ってしまったか、というものです。
それは若さであり無垢さであり素直さであり・・・16年後の人達から見た青春の象徴が世之介なので、とにかく彼が眩しいのです。
人間みないつの間にか大人になっているものですが、青春時代の”死”を鮮烈に実感させる映画で、ちょっと切ない映画です。
ホント年とっていろんなものが自然消滅していったなぁ、と思いました。
その失ったものの儚さ、愛おしさや悲しさ、色んな感情が蘇える映画だと思います。



80年代後半バブル真っ只中の空気感

80年代後半のテイストが見所だと思います。
斉藤由貴のAXIA、レベッカ、5/8チップス、DCブランド、TシャツジーンズINとか死ぬほど懐かしかったです。
多分何度か見てもっと探せば懐かしいアイテムはまだまだありそうです。
吉高さん、佐津川さんみたいな髪型の女の人がいっぱいいました。
自分の大学の入学式(自分は88年入学)のときは、女性も男性もスーツのバリエーションが映画よりもっと色々でしたが。
あのバブルの頃、祥子みたいな浮世離れした成金お嬢様が結構いましたよね(自称だったかもだけど)。


実際に起こった事件について

2001年に起こった新大久保駅乗客転落事故を連想させるということで批判があるようですが原作どおりです。
吉田氏は犠牲になったあまり報道されなかった日本人カメラマンは一体どういう人なんだろう?と想像を膨らませ、書き上げたのが小説『横道世之介』だそうで、原作ファンとしてはあれはマストなわけですが、映画は少し唐突な感じはしたかも。
原作だとあの事故のことを思い起こせるような人物像が描かれていて全く違和感がなかったんですが、映画の世之介だと少々違和感があるのかもしれませんね。




ロケ地情報

●新宿駅東口 --CG合成で80年代の新宿駅の雰囲気を作ったそうです
法政大学 -- キャンパスのシーン(吉田修一の母校)
菊名駅 -- Wデートな待ち合わせ、下北沢だと思ったら菊名駅の建てられたセットでした
服部牧場 -- サンバ同好会合宿


●長崎のロケ地はこちら
http://wowow.jal.co.jp/kyushu/movie02




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