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その夜の侍 (2012) The Samurai That Night 堺雅人×山田孝之

 正月休み中にTwitterでおすすめして頂いた『その夜の侍』を見ました。
2016年初映画となったわけですが、生々しくて泥臭い人間ドラマで、見終わった直後よりも時間を置くと妙にジワジワ胸に突き刺ささる映画でした。
堺雅人×山田孝之×新井浩文×綾野剛なんて、映画ファンなら気になりますよね^0^

小さな鉄工所を経営する中年男の中村(堺雅人)は、5年前に木島(山田孝之)が起こしたひき逃げ事件で最愛の妻を失ってしまい、抜け殻のようになりながらも復讐(ふくしゅう)することだけを考えて日々を生きていた。やがて、刑期を終えて出所した木島のもとに、復讐(ふくしゅう)を遂げる日までのカウントダウンを告げる差出人不明の脅迫状が届くようになる。そして妻の命日の夜が訪れ、ついに中村と木島は対面を果たすが……。--cinema today

本作の”侍”は、堺雅人が演じる妻をひき逃げ事件で殺されてしまった中村。
ひき逃げ犯木島(山田孝之)は、数年間服役したようですが、反省もしないで相変わらずクズなまま。
そんな中村が木島に復讐するまでの3日間のお話です。
一見単純明快な重い話のようですが、ところろどころ滑稽というか、独特なユーモアを交じりなためそこまで重苦しくはないです。
そしてありきたりの復讐ではなくて、一癖も二癖もあり・・・”正義”と”罪”、”罪”と”罰”みたいな話ではなく、心の闇と孤独感、虚無感などを容赦なくえぐりとる感じです。

堺雅人の顔、髪、油でギトギトなくたびれた狂気の中年っぷりがものすごい!
見た目も相当汚くて、画面から匂ってきそうでした・・・ここまでやるのはすご!
山田孝之のクズキャラが霞んでしまうかと思ったら、全く霞まなくて両方すごい!

終盤までは”妻のあだ討ちをする侍”=”復讐劇”だと思ってハラハラしながら見ていましたが、そうではなく中村侍は自分自身を斬ったように思いました。
妻に対する後悔の念をちゃんと見つめることなく、木島に対する復讐心を募らせることで気持を保っていたというか・・・そんな自分を斬ったように思いました。
中村と木島の対決は映画史上最高にカッコ悪くて、すごく切ない対決だと思いました。

そしてひき逃げ事件以降、平凡でなくなってしまい、平凡を取り戻したいと思っている4人の男の物語です。
中村、木島、中村の義兄・青木(新井浩文)、木島の手下・小林(綾野剛)の4人。

中村側の人達は、義兄も工場の人たちも優しい人達です。
青木は木島の暴力に屈したように思えてなんだか不満に思いながら見ていたけど、これも後に彼の必死な思いが分かり泣けました。
あんなに中村の幸せを願い、あれこれ世話を焼くものの、中村の「他愛のない話をしたい」人の中に義兄は入っていないのが、妙にツボでおかしかったです。
義兄(年下だけど)のまともさがキツいのもよく分かります(笑)
新井浩文はどんな映画でどんな役でもいい味で、実はこの義兄が復讐の黒幕かと思ってたんですが、そういうんではなかったです(新井浩文だったからっ!)w
登場人物の中で数少ないまともな人でした。

そして木島・・・この人なんなんだろう。
本当にクズで最低で憎たらしいのに、彼の周りには寂しい人達が集まってきます。
でもそうやって孤独をまぎらわしているというのも、共感したくはないけど共感できてしまいます。
多かれ少なかれ日常生活においてもこういう事はあると思いました。
小林(綾野剛)と星(田口トモロヲ)はそうなんですが、警備員(谷村美月)はまたちょっと違うのかも。

伏線が色々と散りばめられていて、回収されるまでは「どうして?なぜ?」と思いながら見ていたんですが、すべて回収された後に感じたことは”平凡な日常の尊さ”でした。

・・・というかこの映画、感想文難しいですね。
どんな感想もネタばれになってしまいそうです(笑)



----------------------------- 以下ネタバレ感想  --------------------------



この一筋縄にはいかない結末。
登場人物の中で数少ないまともな人だった義兄の「平凡って全力で築き上げるものなんじゃないっすか。」と、義兄同僚の「他愛のない話がしたい。」ってことなのかな、と思いました。
妻の死により、平凡な日常が奪われた中村には、気持の区切りをつけるための物語が必要で、平凡をまた築いてゆく第一歩が、命がけでの木島との対峙だったのかな、と思いました。
そして迎えた日常はいつもと同じような妻不在の日常なんだけど、プリン食べずにぶっかぶったり留守電消去だったり・・・ほんのちょっと変わった日常が救いのように感じました。
上手く言葉にできませんが、なんとなく腑に落ちた結末でした。


観客にまったく媚びないこういう邦画は、最近少ないと思います。




ロケ地は埼玉県所沢市、埼玉県川越市、千葉県柏市等だそうです。

カラオケスナックVoice -- お見合い(?)のシーンなど



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