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紙の月 宮沢りえがひたすら美しいが小説とは全く別物



角田光代小説「紙の月」の映画化で、私は原作のファンです。
銀行の契約社員である普通の主婦梨香が、大学生の男の子と不倫し、彼に貢ぐために数千万の横領をする・・・という話です。
角田さんは、実際のニュースで銀行員の女性が使い込みをしたという事件を調べると、大抵が“男に貢ぐ”という形になっていることに違和感を覚えたそうです。
“お金を介在してしか恋愛ができなかった”という能動的な女性を描きたいという思いが本作執筆となりました。
そこが「紙の月」の醍醐味ですが、残念ながら映画版は「若い男に貢ぎだ挙句に横領に手を染めていく女」というありがちなものになっており、原作者の違和感そのものになっていたのがとても残念でした。
ありがちになってしまったため週刊誌的になってしまっていました。


小説でもラストバンコクで、間もなく梨香は逮捕されりだろう、ということが判るような感じで終わっていました。
小説版の梨香は本当に平凡な主婦で、夫との確執により若い男との不倫に走ります。
そして中学生の頃からのエピソードから、「お金を介さないと人と繋がることができない女」「お金で世界が変わると本気で思っている女」であり、若い男に貢ぐというよりは、お金でしか男と関係を持てない女として描かれています。
梨香が罪を犯すまでの過程を巧みに描いており、罪を犯した梨香に対して「捕まらないで逃げ切ってほしい。」と思ってしまうのは、誰もが梨香になりうると切実に思うからです。


一方映画版中盤までは「中学生の頃から手癖が悪い病的なボランティア精神の持ち主」みたいな描き方だったのが残念でした。
原作では夫との確執が絶妙に書かれていますが、田辺誠一演じる夫がなぜか人が良すぎるほどのめっちゃいい旦那さんで、何故大学生(池松壮亮)と不倫に走る理由もよくわからないし、その過程を全く描いていないので(見つめあったと思ったらホテルなので)一目惚れみたいなことに。
映画版の梨香は、横領にばれそうになっても開き直ってふてぶてしい少々たちの悪い犯人で、早く捕まってほしいと思ってしまい、原作のいいところが普通の横領事件になってしまっていました。

そういうわけで、原作ファンとしてはかなり残念な映画版でした。
原作未読のほうが楽しめるとは思います。
多分、監督が男性だってこともあると思うんですよね。
この作品は梨香に共感できる女性監督だと、また違うものになったように思います。
とはいえ、役者さんたちはとても豪華でプラスポイントです。
映画版のいい所は、小林聡美と大島優子がやっていた原作にはないキャラクターです。
小林さんはベテラン行員、大島さんは若手行員で、特に小林聡美の無双っぷりが痛快でしたし、大島さんのちゃっかり娘も素晴らしかったです。
特に宮沢さんと小林さんの一騎打ちは見応えがありました。
一騎打ちの後宮沢さんは逃亡を図るのですが、ひたすら走っている宮沢さんがやたら美しく、本作のベストシーンでした。
あと、音楽がやたらお洒落でした。

ロケ地は神戸ですが、神戸の地を生かしたシーンは皆無なので、よくある日本の地方都市の主婦のお話になっています。
ロこちらの神戸交通局のページをどうぞ。


■紙の月 DVD スタンダード・エディション   ■紙の月 角田光代著 (ハルキ文庫)




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