あっちやこっちから風が吹いて来て、それがくるりと一つのつむじ風になる。
吉田篤弘の同名小説を篠原哲雄監督が映画化、しかし原作のことは知らなかったし未読。
篠原哲雄監督の「地下鉄に乗って」がとても好きだったので見てみましたが、なんとも不思議な世界感で、小説を読んでみたいと思いました。
どうやら近頃の映画の鉄板、はわかりやすいストーリー、盛り上がるところは盛り上がって、愛とか友情とかわかりやすいメッセージがあって・・・って感じだと思うけど、そういう映画とは対極にあるミニシアター系小作品だと思います。
懐かしい町“月舟町”。ある夜、雨降りの研究をしている先生、「私」(矢嶋智人)は、十字路の角にぽつんと建つ“つむじ風食堂”に初めて足を踏み入れた。そこには毎夜、“二重空間移動装置”なる万歩計でどこへでも行けると信じている帽子屋(下條アトム)や古本屋の“デニーロの親方”(田中要二)、売れない舞台女優(月船さらら)といったちょっと風変わりな常連客が集っていた。気後れしつつも、いつしか自分も常連客の一人となっていく先生だったが…。宮沢賢治の童話のようなファンタジックで哲学的な世界感です・・・っていうかタイトルからして狙っていると思われます。
宇宙の話もあったし、どこの国のどこの町の話だかかよくわからない架空な感じや、現実にはいそうもない人たちの不思議な会話とかも宮沢賢治っぽかったです。
八嶋さん演じる「私」とつむじ風食堂のちょっと変わった常連さんとの日常が淡々と描かれています。
特に盛り上がりもないんだけど、そんなことを通して「私」のなかで少しずつ何かが繋がっていき、やがて記憶がいろいろと思い出され・・・
・・・ってこの映画のことはちょっと説明しきれません。
不思議な空間での日常を通して「私」が少しだけ変わるささやかなお話なんですけど、多分雰囲気を楽しむ映画だと思います。
そういうわけで万人におすすめの映画ではないですし、「結局なにが言いたいの?」となる可能性もある映画ですが、この世界感にひきこまれる方もいると思います。
最初不思議ちゃんすぎる世界感についていけなくて、「キツい映画だな。寝ちゃうかな。」って思ったんだけどよく分からない世界感にひきこまれ、そこそこ楽しめちゃったのが自分でも不思議でした。
ノスタルジックでレトロな月舟町のロケ地は北海道函館だそうです。
函館は明治や大正時代の歴史ある建築物や洋館が結構残っています。
○JOE&RACCOON
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引用:tabelog
つむじ風食堂の外観は旧喫茶JOE、現JOE&RACCOON(カフェ)です。
明治初期の建築物で函館市の「景観形成指定建築物」にも指定されています。
住所:北海道函館市大町9-14
○八幡坂
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引用:tripadviser
「私」が昔に書いた芝居の脚本を思い出しながら上っていた坂です。
この八幡坂は、他の映画、ドラマ、CMなどでもよく見ますね。
住所:北海道函館市末広町
○十字街停留所
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引用:wikipedia
「私」が父と同じような帽子を手に入れた後のシーン
住所:北海道函館市末広町8-6先
○旧ロシア領事館
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「私」が住む月舟アパートメントの外観と内観。
明治43年に再建され、帝政ロシア時代の面影が残る歴史的建造物です。
住所:北海道函館市船見町17-13
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■つむじ風食堂の夜 吉田 篤弘著 (原作小説)
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