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ヤクザと憲法 ヤクザ密着100日間

話題になっている、東海テレビ製作劇場ドキュメンタリー『ヤクザと憲法』を見てまいりました。

Twitterで面白いと評判になっていて、DVD化はしないと聞いたので。土方宏史監督は東海テレビのテレビマンだそうです。本作は、ヤクザに100日間密着して撮ったという、アンビリーバボーなドキュメンタリーでございます。


写真の方たちは、みなさん大阪西成区に本拠地を置く、二代目東組『二代目清勇会』の現役ヤクザです。東組は広域指定暴力団であり、『二代目清勇会』はその二次団体にあたり、『二代目清勇会』の川口和秀会長は東組の副会長でもあるそうです。その『二代目清勇会』100日ドキュメントで、とても衝撃でした。犯罪の匂いがプンプンで、「そんなところまでカメラで撮るんだ。」ってところまで捉えられている、ある意味貴重なドキュメンタリーだと思います。

暴対法、暴排条例によるしめつけが厳しくなり、元気がなくなったヤクザの日常を追う100日間。因みに、二代目清勇会というのは、暴対法ができるきっかけになった事件を起した組だそうです。多分ヤクザに対する知識がホボない、というか、ないフリをしていると思われる監督が、ヤクザに不躾な質問とかするので、とにかくハラハラしてとてもおもしろかったです。

ヤクザ 「ヤクザは人権侵害されている。」 
監督  「じゃあ、ヤクザやめればいいんじゃないですか?」 
ヤクザ 「どこが引き取ってくれんねん!」

・・と、劇中でのやり取りの通り、ヤクザによる「ヤクザが人権侵害されている。憲法違反ではないのか?」という問題提議が主題です。正直、「堅気の人の人権を蹂躙するような商売してるヤクザが何言ってるんだろう?って思ったし、「それを覚悟してヤクザになったんじゃないの?」って思いました。しかし暴排条例が効きすぎて、銀行口座は作れない、保険に入れない、ローンは組めない、子供達はいじめられる、幼稚園お断り・・・と、踏んだり蹴ったりみたいです。

しかし残念なことに主題に対しては深堀していなくて、ヤクザが「暴対法、暴排条例でヤクザの人権が侵されている。」と言っている、ってことのみです。ヤクザによる「ワシらの人権どないなってるねん?」という問いかけは、詐欺師が詐欺られて激怒、というような与汰話と同種の滑稽さを感じるものの、同時に「日本社会どないなってるねん?」という問いかけでもあると感じました。

本当は警察が違法行為摘発していってヤクザ撲滅するのが理想ですが、警察もヤクザだけが相手というわけではないし、いたちごっこで摘発しきれない・・・ということで暴排条例なのかと思いますこの暴排条例は、社会がヤクザと関わってはいけません、という条例で、契約の時「あなたは暴力団構成員、または構成員と関わりがあるか?」みたいな項目にチェック入れさせるアレが効いちゃってるみたい。ヤクザは身から出た錆でしょうが、たまたまヤクザの親に生まれてしまった子供、息子がヤクザになってしまった親、或いは幼馴染のヤクザと何度か食事をした友人など、善良な市民であろう人まで排除されるのはどうなのかなぁ?と思いました。

そしてヤクザが弱くなった途端に、半グレみたいなグレーゾーンの非合法組織が出てきちゃっているのもまた事実。だからといってヤクザに対してユルくなればヤクザは元気になり、苦しむ人が増える・・・という訳で、答えは出ないけど考えさせられるドキュメンタリーでした。

そして、誰もが権力側に反社会的だと思われたら法制備され、合法的に社会から排除されるというという怖さがあるなぁ、と思いました。ヤクザが排除されたら次は何が排除される?右翼?左翼?貧乏人?高齢者?と思うと、他人事には思えないと思いました。




土方監督、ヤクザに「それ拳銃ですか?」「それ覚せい剤ですか?」と攻め攻めでヒヤヒヤしたけど面白かったです。そういうわけで真面目なドキュメンタリーですが、笑えるシーンも多々ありました。
ほとんどがヤクザの日常・・・たまにシノギ、怒られたり怒ったり、事務所でタラタラ・・・って感じなんですけど、妙に愛嬌があるヤクザで、でもやっぱり怖すぎる(笑)。ヤクザの日常が、拍子抜けするほど意外性がなくて「どうしてだろう?」と思ったのですが、北野映画が原因でかも^0^

暴対法、暴排条例によるヤクザ業界の衰退が興味深かったです。それでも昔は不良少年達のセーフティネットとして機能していたヤクザ稼業ですが、法整備により儲からないから不良少年にも見放され、人も設備も高齢化という現状の厳しさ。若者がヤクザという選択肢をとらず、ヤクザの数も減っているのなから、暴排等の法整備は一定の効果はあったと言えるのかもしれません。「憧れを抱く若者がいなくなればいい。」と語る組長が印象に残りました。ヤクザであることが許されない時代になりつつあるんだな、と思いました。

運良く(悪く)大阪府警の強制捜査にも出くわすカメラ。
大阪府警怖い怖い・・・でも犯罪組織であるヤクザと日常的にやりあう職業はくらいじゃないとイカンのだろうなぁ・・・という印象です。

組長や老兵たちよりも印象的だったのが、唯一の若い衆だった”部屋住み”の20歳位の松山くん。
ヤクザになるのは不良少年だと思っていたけど、その真逆のような子で、コミュニケーションが苦手な元ひきこもりだそうです。がんばって怖い声色使ってるような子で、明らかにヤクザ向きではなさそうだし、心配になってしまいました。彼の「お互い気に食わないと思っている者、両方が生きていけるのが良い社会ではないか。」という純粋な言葉が胸を打ちました。

勿論ヤクザが危害を加えない事と違法活動をしない事が前提になるのですが、社会に足を洗ったヤクザの受け皿が必要だと言っても、還暦近いヤクザの受け皿って何だろう?と考えさせられます。それよりも松山君のような行き場のない若い人や、何の罪もないのに不利益をこうむっているやくざの子供達への支援のほうが先決なのかな、と思いました。若い人たちや、ドロップアウトした人たちの受け皿がないことには、暴力団はなくならないから。





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