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シェル・コレクター (2016) リリー・フランキー主演


『シェル・コレクター』を見てきました。
アンソニー・ドーアの処女作の短編集「シェル・コレクター/貝を集める人」の表題作が原作で、神話のような人間と自然の畏怖を描いたとって小説です。ドーア氏の小説はアメリカでいろんな賞を獲っているのですが、驚いた事に日米合作である本作が世界初の映像化作品なんだとか。監督は坪田義史・・・といっても存じ上げない監督さんなのですが、原作小説が好みだったような記憶があり、その上リリー・フランキー主演、そして寺島しのぶ、池松壮亮に橋本愛ですから、なんとなく見てみようかな、という気になりまして。


そういうわけでとってもアメリカな原作では、ケニアが舞台となっていたところを沖縄に移して、一体どんな映画になるんだろう?と思ったのですが、とても風変わりな映画で、もうクラクラっす。原作どおり神秘的なお話なのですが、舞台を沖縄・・・ということで、アミ二ズム的な沖縄に、米軍基地反対、乱獲や環境汚染、反戦とかうっすらぶっこんでいて、その上スピリチュアルにオカルトetc・・・カルト映画の部類ではないかと。

目が不自由ながらも、貝類学の権威として有名な学者の男。しかし、彼は妻子と離れて沖縄の孤島へと移り住み、社会と隔絶するようにして貝を集める日々を送っていた。ある日、いづみ(寺島しのぶ)という画家が島に漂着。奇病に侵されていた彼女だったが、貝の毒で偶然治ってしまう。やがて、そのうわさを聞きつけた人々が貝毒を用いた治療をしてもらおうと島にやって来る。島を訪れた者の中には、息子の光(池松壮亮)もいて……。--cinema today

一人貝を拾い、貝を愛でながら、島で厭世的隠遁生活を送っている全盲の老貝類学者(リリー・フランキー)。学者というより貝収集愛好家という感じです。そんな時世界中で流行している謎の奇病に罹った画家・いづみ(寺島しのぶ)が島に漂着ているところを貝学者が見つけ、介抱しますが、いづみは病のせいで絶望状態。が、イモガイの毒にやられたら、なぜか奇病が治ってしまいます。彼女は病気が治って有頂天になり!??そして病を治して欲しい人達がゾンビみたいに島にドッと押し寄せます。そんな人たちを引き連れて、貝類学者の息子・光(池松壮亮)も島にやってきます。・・・人と交わることを避けていた彼は人と交わらざるを得なくなってしまい、生活はガラッと変わってしまいます。捨てた俗世がやってきてしまい、彼は上手くやっていく事ができるのか?人間と自然の共存についてのお話ですが、いまいちよく分かりませんでした。^^;




比喩や暗喩や暗示が多々あり、説明もないので、観客に解釈や想像することを求める映画です。色々なにかを象徴しているんだろうけど、さっぱり??だったり、夢なのか現実なのか??そんな幻想的なところが魅力だと思いますが、正直消化しきれていません。沖縄の美しい海を撮っているのに爽やかさはなく、どこか不気味で得体の知れない海です。「私は貝になりたい」という不朽の名作がありますが、主人公の心境も「私は貝になりたい」といったところか?でもどうしてそういう風になったのか、という背景の説明がなんにもないなぁ、なんて思ってたけどもしかして貝類学者は貝のなのかっ!そんな内にこもっている貝のような貝類学者が外から押し寄せるようにやってくる人達と上手くやっていけるのか?

貝類学者は”父さん””先生”と呼ばれるだけで名前はありません。彼の生活のすべては貝であり、それ以外のことには全く興味がない様子でまるで世捨て人のような暮らしです。なぜそのような暮らしをしているのかという背景についてはまったく説明がありませんが、妻子を拒絶して、まるで貝のように自分の殻にこもる・・・っていうのはメタファーだと思いますが、失望とか絶望とかあったのかなぁ、と思いました。そして、息子の名前は”光”。息子が生まれた頃は、今とは違い希望のようなものがあったのかもしれません。貝に魅せられた彼が、貝を求めて彷徨う様は、孤独をまぎらわすような行為に思えました。


そんな貝類学者と対照的な人物として描かれているのが、息子・光です。彼は慈善団体の職員として働いていて、父が奇病を治したという噂を聞き、病人たちを連れて島を訪れます。父親に会って「父さん、久しぶり!」とハグ。理想に燃える正義の人っぽいんだけど、なんだか胡散臭い・・・光の結末にギャッフン!!でした。


そういうわけで解釈に苦しむことも多々ありましたが、役者さんたちが4人とも好きな役者さんだからなんとか見ることができました。この4人じゃなかったらキツかったかも^^;。おおまかに漂着した画家の話、息子の話、地元有力者の娘・蔦子(橋本愛)の話で、リリーさん以外の3人の出番は思ったよりも少なかったけど、3人とも印象深かったです。


寺島しのぶさんやっぱり体張っていてエロいです。
そして橋本愛さんは、これまた奇病に罹った、代々神事を行ってきた家系の娘役です。彼女の神秘的な美しさが役にピッタリだったので、とても印象に残りました。
寺島さんが相変わらずの脱ぎっぷりだから、当然池松さんも脱ぐんだろうなぁ・・・なんて思ってたらビックリ展開でした・・・あ、ちゃんと服着てらっしゃいました。


そしてリリーさん。もんのすごく映画出てらっしゃいます。最近柄本明並に遭遇率高いです。リリーさん自身は50歳ちょっとくらいだと思いますが、本作では枯れた爺さんです。しかも盲目。登場時は、「え?リリーさん急に老け込んでどうしちゃったの?」と思ってしまい、それくらい役作りが素晴らしいと思いました。顔や手がアップになると老人ではなく若いのがバレるのはご愛嬌かな。相変わらずの色気でした。


映像表現は前衛的な感じですが、内容はクラシカルというか、昔の映画ってこういう個性的な映画が多かったように思います。ただ原作小説は大まかな筋は小説通りなんですが、全く別物だと思います。カルト映画お好きな方と役者さんのファンの方、沖縄LOVERの方はぜひどうぞ。でもこういうカルトな雰囲気のわけわかめ系映画は、近年少なくなってしまったので貴重だなぁ、とは思いました。


ロケ地は沖縄の渡嘉敷島の阿波連ビーチのクバノクシ海岸だそうです。
渡嘉敷島へのアクセスは、沖縄本島からフェリーで1時間10分、高速船で35分です。











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