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美しい夏キリシマ 銃後の人々を描いた反戦映画



「美しい夏キリシマ」は、2006年に他界された黒木和雄監督戦争レクイエム4部作の第2作目の作品です。
戦争レクイエム4部作は

  • TOMORROW 明日 (1988年)-長崎原爆
  • 美しい夏キリシマ (2002年)
  • 父と暮らせば (2004年)-広島原爆
  • 紙屋悦子の青春 (2006年・遺作)-神風特攻隊

ということで、本作は15歳の少年の青春と、悲しみ、笑い、愛し合いながらも懸命に生きた人々の姿と生き残ってしまった人達の苦しみを描いた作品です。
でも戦争映画です。
いかにも悲惨、という人が死んだりするような戦争映画とは対極的な戦争映画で、終戦当時15歳の少年だった黒木和雄が、終世忘れることのできない痛切な体験をもとに描いた群像劇です。


1945年、夏の霧島地方。15歳の少年、日高康夫(柄本佑)は働いていた工場で空襲に見舞われ、親友が被爆死するのを目の当たりにする。以来、一人生き残ったことに罪悪感を抱いてしまい、それが原因で体を壊し、彼は学校に行けなくなっていた。そんな康夫を厳格な祖父・重徳(原田芳雄)は非国民と罵倒する。すっかり心を閉ざしてしまう康夫だったが、日高家で奉公人として働くなつ(小田エリカ)にだけは、歳も近いせいか気を許していた。一方、日高家のもう一人の女中はる(中島ひろ子)には、ある日縁談の話が持ち込まれる。しかし、相手が片足を失った帰還兵と知って複雑な心境になるのだった。---all cinema

淡々と描かれているのは、少年や少年の周囲にいる人たちの日常です。
普通の人間ドラマですが終戦直前ということで、エピソードがとても特異です。
戦争と無縁のような美しい田園風景や彼方に見える霧島、そんな土地に駐屯している日本軍、村人たちの軍事訓練・・・これらの映像は、「戦場」を描く映画とはまたちょっと違った恐ろしさがあり、違った形で軍国主義の歪みや愚かさを描いていると思いました。

一番恐ろしいと感じたのは、軍国主義は国民から「負けたらどうなるのか?」ということを考えたり想像したりする思考力を奪ってしまうことでした。
思考力を奪われなかった人たちは口をつぐむか牢屋にいたんでしょう。

とても真摯ですばらしい映画だと思います。

そして本作は今では父親と同じく名脇役の道を歩いていて柄本ジュニアの長男、柄本佑のデビュー作で初主演作でもあります。
演技してる感じがゼロで、自然な演技でありながら、戦時下の多感な思春期の少年を好演していました。
日高康夫は黒木監督自身を投影している役だそうです。
他、キャストは原田芳雄、左時枝、小田エリカ、石田エリ、香川照之、牧瀬里穂、中島弘子、平岩紙、寺島進、眞島秀和等、演技派役者さん勢ぞろいです。

舞台となったのは黒木監督の出身地である宮崎県えびの市オールロケだそうです。
こちらにロケ地マップがあります。

○JRえびの駅


出典:wiki
康夫が叔母を迎えに行ったシーンなどで登場したえびの駅です。
大正時代の趣がある、JR九州吉都線の無人駅です。









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