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この国の空 (2015) 二階堂ふみ×長谷川博己 ロケ地

戦後70周年だった昨年の映画『この国の空』を見ました。
芥川賞作家・高井有一の谷崎潤一郎賞受賞小説の映画化だそうですが、小説はいつものごとく未読です。

終戦が近い東京で、母(工藤夕貴)、叔母と共に暮らす19歳の里子(二階堂ふみ)は、何度も降り掛かる空襲に恐怖し、結婚適齢期なのに戦況が悪化し結婚など望めそうもない状況に不安を抱いていた。そんな中、丙種により徴兵を免除され、妻子を疎開させ一人で生活している隣人・市毛(長谷川博己)の身の回りの世話をすることに楽しみを見いだした里子に、いつしか自らのうちに潜む女性としての本能が芽生え……。--cinema today



戦後70周年作品だから反戦映画だろうなぁ、と思っていたのですが、その色はかなりうっすらです。

時代背景が戦争末期の空襲やら食糧難やらで厳しい時期ではありますが、隣の家に住む妻子持ちの38歳のオッサン・市毛に恋をし、やがて不倫関係になる19歳の少女・里子が、少女から女に目覚める・・・みたいなお話です。
この時期若い男は皆戦地、連日のアメリカ軍による空襲、「このまま恋もしないで死んでしまうのだろうか?」とブルーになっている里子の前に現れた市毛。
市毛は虚弱体質だかなんかで丙種になり徴兵はなんとか免れたとはいえ、このまま戦争が続けばいつか自分のところにも赤紙が来て、戦地に送り込まれて死ぬんじゃないかとやきもきしている優男です。
隣のよしみで里子はあれこれ市毛の世話を焼くうちに・・・というお決まりのパターンですが、「こんな男はやめておけ。」としか思わない(笑)


恋というよりは、生か死かという極限状況に生まれる性のお話かな!?と思いました。
多分里子は市毛に惹かれながらも、妻子ある男だからと葛藤している感じです・・・といっても2人が結ばれるのは終盤で、中盤は戦前の奥ゆかしい感じで2人の恋の駆け引きみたいなことを延々と見せられるわけです^^;
初デートが米の買出しの後、神社でおかんが握ってくれたおにぎりランチですから。”性=生”みたいなことなんだと思いますが、奥ゆかしい戦時中の不倫です(笑)
市毛のヤル気満々さがちょっと笑えたりも。


里子も市毛も、そして里子の母親と叔母もちょっとどこかおかしいというか狂っているというか・・・そんな風に思いました。
実の姉妹である里子の叔母(富田靖子)と里子の母親(工藤夕貴)の微妙な関係や、里子が妻子ある市毛に思いを寄せているのを知っても、それを肯定したくもなる戦時中年頃の娘を持つ母親の複雑な感情も、今の価値観で言えばおかしいのでしょう。
普通の人々がそんな風にどこかおかしくなるのが戦争なんだなぁ、と思いました。
では里子と市毛の関係は戦争という状況ありきの関係なのか?と言えばそういうわけでもなく、どこにでもあるような不倫だなー、と思いました。
戦争よりも、里子が幼い頃に大好きだった父親を亡くした、ということが大きいように思いました。
ところで二人がいい感じになりそうなときに邪魔が入る、コントみたいな演出は一体なに!?


意外にも、戦時中の食事がものすごく美味しそうでした。
大抵戦時中の食事風景は食欲なんてそそられないものなのですが、里子の家は焼き出された居候の叔母(富田靖子)までいて食事情は厳しそうなのですが、質素ながらもお漬物や魚を炊いたものがあったり野菜も白米も食べれているようでした。
終戦直前はみんながみんな白米食べられなくて芋ばかり、って訳じゃなくて、きっと食べられた庶民もいたのかも。
多分”食べること=生”ということで、やたら食事や何か食べてるシーンが多くて、どれもおいしそうでした。


やっと里子と市毛が結ばれたと思ったら、速攻終戦。
「戦争は終わった。戦場に行かなくて済んだ!」と喜ぶ市毛と対照的に、全く終戦を喜ばない里子。
「私の戦争はこれから始まる」って・・・え?
戦争が終われば市毛の妻子が戻ってくるわけで、里子は市毛の妻子と戦わなきゃいかん、ということなんですが・・・え?
戦後のドロドロ物語も全然面白そうだとは思いますが・・・・見終わった当初は若干引いてしまいました。
しかし「戦争が続けばいい。その間は彼といられる。」なんてオチは、終戦ものではかなり斬新なんじゃないかと思います。
終戦で「日本が負けてしまった。信じられない。」と泣く人、「やっと戦争が終わった」という思いの人ばかりではなく、里子のようにそれぞれの事情で戦争の継続を望む人もいたんだろうな、とは思いました。


東京都杉並区近辺の設定でしたが、撮影は関西でされたそうです。
里子の家を含む、杉並の風景は京都太秦撮影所のセットだそうです。


伊居太(いけだ)神社

例の2人の初デートで、にぎり飯ランチした神社です。

大阪府池田市内の最古の神社だそうです。
住所:大阪府池田市綾羽2-4-5



野洲川 (滋賀県)

里子とおかんが、水浴びする川。


神戸ワイナリー
里子とおかんが農村を訪れ、着物と食料を交換してもらいに行く、という農村のシーンが撮影されたそうです。


神戸ワイナリー内の民具農具館 
着物と食料を交換してくれた農家の家

NPO法人蒲生野考現倶楽部しゃくなげ學校(旧日野町立鎌掛小学校)
里子が働く町会事務所のシーンが撮影されたそうです。



■DVD             ■ブルーレイ
      












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