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くちづけ (2013) 貫地谷しほり×竹中直人



先日何の期待もしないで、Gyaoで映画『くちづけ』を見ましたが、めっけ物でした!!
2012年に解散した、宅間孝行率いる演劇集団、”東京セレソンDX”の同タイトル舞台を、堤幸彦監督により映画化されたもので、本作でも宅間さんは脚本と、舞台と同じく”うーやん”役で出演されています。
宅間さんが三面記事で事件を知り、脚本を書いた戯曲が原作です。
内容を全く知らずに、タイトルとキャスト(貫地谷しほり×竹中直人主演だから痛快コメディしか思い浮ばなかった!)からラブコメかと思いましたが・・・ラブでもありコメディでもありますが、社会派!社会派!と主張しているわけではないけど確かに社会派映画で、悲劇だけど喜劇のように軽妙で、とても個性的な作品だと思いました。
泣かせようとするアレな演出に閉口したくせに、号泣してしまったり。
知的障害者である娘とその父親の親子愛悲喜劇、さらには障害者の子を持つ親が避けては通れない問題と、日本の社会制度の脆弱さを問題定義している作品で、とても考えられました。

知的障害を持つ娘のマコ(貫地谷しほり)を、男手ひとつで育てる愛情いっぽん(竹中直人)は、かつては人気漫画家だったが休業し、すでに30年がたっている。知的障害者のためのグループホーム「ひまわり荘」で住み込みで働き始めたいっぽんと、そこで出会ったうーやん(宅間孝行)に心を開くようになったマコ。しかしそんなある日、いっぽんに病気が見つかる。--cinema today



------------------     以下ネタばれあるかも  ---------------------------




マコが自殺した、という新聞記事からはじまります。
「なぜマコは死んだのか?」ということを、マコとマコの父親の”いっぽん”が知的障害者の自立支援をしているグループホーム”ひまわり荘”に来て、そこでの出来事を通して描かれています。
原作が戯曲だからか、映画らしい映画ではなく、むしろ舞台を見ているようで、キャラクターも会話劇も舞台っぽいつくりです。
登場人物たちは全身で心情を語りまくり、ヒールキャラはデフォルメされたわかりやすいヒールです。
この手の題材は普通はシリアスめにやると思うのですが、そういう意味では規格外だなぁ、と思いました。

内容はジェット・リー主演の『海洋天堂』とかぶりました。
自閉症の息子と2人で暮らす、ジェット・リー演じる末期癌に冒された父親は、残される息子の将来への不安から心中を図りますが、失敗。
そして父親は息子に最後の教育をし、自立への道筋をつけてあげてから亡くなる・・・という話で、ここちらは普通にシリアスにやっているので、印象は全く違いますが。

本作の父親”いっぽん”が取った行動は途中までは同じですが、結末は正反対です。
こういう悲劇的な結末は新聞でも時々目にするような事件なので、これも現実だと思いました。
「一人では生きていくことができない障害者であるわが子を残して、先には死ねない。」と、親御さんたちはみんな思っていらっしゃると思うのですが、きっと健常者が作る社会の壁の大きさを熟知していらっしゃるからだと思いました。
現実は介護が必要な子供よりも先に、親の寿命が来てしまう現実・・・その時が来たときにいっぽんが取った選択には賛否両論あると思いますが、正しかったともいえないし、間違っているともいえないと思いました。
ではどうすべきだったのかと考えた時に選択肢があまりないのが今の日本の社会だなぁとも思いました。





そういうわけで新聞やニュースで見ると悲痛な事件なので重い話ですが、障害者の犯罪(加害者として&被害者として)や性、そして恋愛、障害者の家族を持つ困難さ、世間の偏見と風当たりの強さ、などセンシティブなことを割とあっけらかんとユーモアを交えて描いています。
そのすべてが重い問題定義だなぁ、と思いました。

スベリ系のお笑い要素はもちろん竹中直人だろうと思いきや他の方が担当されていて、竹中直人だけ割と抑えた感じで真面目に泣いたり笑ったりの泣き笑いが素晴らしかったです。

埼玉県本庄市が舞台になっていましたが、舞台っぽくロケーションはひまわり荘のみです。
ひまわり荘は多分セットかな?








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