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EUREKA ユリイカ (2000) 役所広司×宮崎あおい・将兄妹 喪失、癒しと再生の物語



映画『EUREKA ユリイカ』は青山真治監督による2000年に公開された映画で、カンヌ国際映画祭で国際批評家連盟賞とエキュメニック賞を受賞するなど大変話題になった映画です。
『Helpless』『EUREKA 』『サッド ヴァケイション』と続く“北九州サーガ”3部作の中では一番好きです。
不運にも死者が出るバスジャック事件に遭遇して「死の恐怖」を知ってしまったバスの運転手と、
幼い兄妹の心の傷が癒え始める様子をたっぷり3時間40分と言う時間をかけて描いた映画です。
素っ気なく言えば、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の克服がテーマなんですが、その心の傷はそうたやすく癒えるものではない、と思うほど重いテーマです。

本作『ユリイカ』の公開と同時期に、同じ西鉄で17歳の少年による「西鉄バスジャック事件」が起こり、この事件を先取りしたような映画だと話題になったように記憶しています。
そして「大津波がくる。いつかきっと……みんないなくなる」という梢(宮崎あおい)の独白ではじまるこの映画は、3.11後にまた沢山の人に見られてもいい映画ではないのかな、と思っています。
淡々としたやたらに長い場面がずっと続くので、飽きずに見通すのはなかなか大変な映画ではありますが。
スーパースローテンポなので。。。

九州の地方都市でバスジャック事件が発生。生き残ったのは、バスの運転手・沢井(役所広司)と幼い兄妹の直樹(宮崎将)と梢(宮崎あおい)だけだった。マスコミの好奇の目にさらされる3人。やがて、事件から2年の月日が流れ……。--cinema today 



前半はバスジャック事件と、それぞれが故郷で人間関係に翻弄され、それによって生み出される被害者の孤独が描かれています。
謂れ無い中傷や好奇の目、マスコミに執拗に追いかけら、心に変調が現れそれぞれの家庭も壊れていく、ということはよくあることではないのか、と思いました。
事件そのものの狂気よりも、日常の中の悪意のほうが色々と奪い去っていくものなのかもしれません。
耐え切れなくなった沢井は逃避します。

事件から2年の月日が流れ、沢井は一緒に生き残った幼い兄妹が2人で暮らしていると知ります。
幼い兄妹は心を病み、口がきけなくなっています。
沢井はそこに押し掛けて、奇妙な同居生活が始ります。
そこに直樹と梢の従兄弟だという秋彦(斉藤陽一郎)も加わります。
彼らの周囲に起こったある事件をきっかけに、沢井が運転するバスに乗り込み後半は淡々と4人で目的地のないロードムービー。
このロードムービーの部分については、九州の方はもれなくショボく感じるでしょう。
「近場にもほどがある。日帰りコースじゃん。旅じゃないwww」と思ってしまった。
「母をたずねて三千里」のマルコはイタリアからアルゼンチンまで旅をしたというのに。

直樹と梢の従兄弟だという秋彦はかなりイラッとくる奴ですが、実は北九州サーガ3部作全てに出ている重要人物。
『Helpless』では人が殺されていくのを見て、自分も殺されるかもしれない、という『EUREKA 』の3人と同じ経験をしているのです。
彼に関しては『EUREKA 』だけ見ると意味のないように思えることも、『Helpless』を見ると「なるほどな。」となります。

3時間40分淡々と流れる時間で意表をつくような展開は特になし。
いつでも起こりうる不条理な悲劇とそれによって感じる孤独感、それを乗り越える過程における人の内面を真摯に描いた映画です。
明確な救いや癒しはないのですが、長く暗いトンネルの先に一筋の光は見える感じでホッとしました。
好みが分かれる映画だと思います。
ヨーロッパの芸術系の映画が好きな方におすすめ。
モノクロ・フィルムで撮影して現像時にカラー・ポジにプリントするクロマティックB&Wなる独特なモノクロ映像も、この映画の寂寥感にマッチしていてよかったです。
とにかく映像が美しく、宮崎あおいがかわいいです!


ロケ地は福岡県朝倉市・北九州市・福岡市、熊本県の阿蘇などです。
下記ページに熊本の「EUREKA ユリイカ」ロケ地情報があります。
http://kumanago.jp/fc/films/detail/71



○大観峰
映像がモノクロからカラーに変わるラストシーンです。
阿蘇山の外輪山の上にある展望台です。ここからミルクロードへの道は本当に素晴らしい景色です。

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