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死にゆく妻との旅路 (2010) 三浦友和×石田ゆり子 報道で見えない当事者の思い

映画『死にゆく妻との旅路』はタイトル通りの内容だけど、答えが出ない難しい問題を描いています。
「死にゆく妻の幸せ」と「保護責任者遺棄致死という法律違反」を天秤にかけ、妻の幸せを取った男のお話。
これは実話で、実際に起こった事件の当事者である清水久典さんによる同タイトルの手記が原作ですが、これは未読です。


平凡な家庭を築き小さな縫製工場を営む清水久典(三浦友和)は、バブル崩壊で工場経営が傾き多額の借金を抱える羽目に。がんの手術をしたばかりの妻ひとみ(石田ゆり子)を残して金策に駆け回るが、金策も職探しも空振りの状態が続く。気の休まらない日々を過ごしていたある日、夫妻はあてもなく日本各地をさすらう旅に出る。


人生詰んで、妻と2人で逃避行ロードムービー

膨れ上がり巨額になってしまった借金、金策に駆け回るも万策尽き果てた時、11歳年下の妻のガンが発覚。
周囲には自己破産をすすめられますが、そんなときにも男のプライドが邪魔をします。
のっけからこの夫婦には未来がないように思えて、ブルーな気分になりました。
この夫婦の場合は、現状から逃れるために妻と旅に出るという逃避行。
余命が長くないと分かり、それでも夫と一緒にいたいと願う妻。
そんな2人の、所持金50万円、272日間6000kmのワゴン車での旅が描かれています。
夫は弱い人だなぁ、と一瞬思ったけど、何とかしようと踏ん張ったがそれでもダメ、という状況で毅然と対処できる強い人はそんなに多くはいないのではないでしょうか。


夫と一緒にいたいという妻ののぞみを叶えた結果・・・?

妻はこの逃避行の旅を「はじめてのデートだ。」と喜びます。
そして妻は「入院して一人になるくらいなら一緒にいたい。」と入院治療を拒み続けて夫と旅をしますが、夫は保護責任者遺棄致死に問われて、逮捕されてします。
当人達にとっては美しい夫婦愛ですが、社会はそうは見てくれないのです。
本人達にとってはとても理不尽なことなのですが、それはとても常識的なことだというのが、とても切なかったです。
残された命が少ししかない妻とただ一緒にいることが、なぜ罪に問われるのか?というお話です。

傍観者の立場から言えば、夫は逃げるべきではなかったと思うし、選択や行動には理解できない部分も多かったです。
人は理解できる範囲のことしか理解できないから、2人の旅は身内の者にだって理解できなくて、本人たちにしか分からないのでしょう。
2人の旅が幸せなのか不幸なのかということは本人たちにしか分からないことなのに、違法行為とされてしまう理不尽さ。
でもその理不尽さはあくまでも当事者から見れば、という感じで世間から見れば常識なわけなんですけど、そんな当事者の思いが2人芝居で描かれています。



ひとみの容態が良い前半は、うっとおしいものから解放されて楽しそうなので、こういう気ままなワゴン車旅に憧れてしまいそうなります。
でも容態が悪くなると悲壮感しかなくて、「なんとかならないのかな?」ってずっと考えてしまいました。
こういうやぶれかぶれの状況なら、もっと激しい罵り合いになりそうなのですが、綺麗過ぎるくらい綺麗にまとめています。

くたびれた甲斐性なしの弱いオッサンを三浦友和さん、死にゆく妻ひとみを石田ゆり子さんが演じています。
三浦友和さんは小汚い情けない男を演じても貫禄があってやっぱかっこいいわけです。
だからなんとかできそうな感じに見えて、「そうじゃなくてもうちょっとがんばってくれよー」と、どうしても思ってしまいました。
原作本を読めばもうちょっと夫の気持が分かりそうなんですが、すごくやるせない話なので数年間手が出ずにいます。
商業性度外視の映画ですが、とても考えさせられる映画だと思います。
ご夫婦でぜひ。

夫婦の旅路は、石川県七尾市から能登金剛、加賀の山中温泉、姫路城、鳥取砂丘、神戸から太平洋岸を北上、甲府から日本海側へ、最後は氷見です。





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